響むバイオスフィア ペーパーと葉ノ崎父の話①

 色々書いたらブログで5桁字になりそうだったので、見切りをつけてペーパーと柊一郎の話だけ抜粋して公開します。ご自身の興味のあるところだけご覧ください。
 全作品そうですが、全部書いたらそれぞれが文庫冊子になりそうな勢いです。

ペーパーについて

 今回3名の創作者さんにお願いして、ペーパーに感想や解説を掲載させて頂きました。文庫本小説がほしいなーって思って……新刊は漫画です。

 脱稿付近で伊坂の『死神の精度』を読み直して、巻末解説読んだら結構しっくりきちゃったというか……「そうそう、そうなんだよ!」みたいな読後の感情整理がピッタリはまって気持ちよく本を閉じられたというか……そんな感覚になりました。
 そのせいで「私の輪郭がボヤけがちな漫画にも解説がついてたらとてもいいのでは!?」とひらめきまして……奇天烈のきっかけでした。

 最初A6大規格で、A5を折った紙両面くらいのつもりだったんですが、いっぱい書いてもらえて嬉しかったので肥大化しました。B6大規格6ページ本プラス私の描き下ろしも仕込んであります。「ペーパーを製本しています」という実況は我ながら意味が分かりませんでした。

ペーパー寄稿者さんについて

掲載順です。

 

かみまさん

 推しです。

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 設定と作画により受肉した世界観がすごい漫画『アザミの森』シリーズの作者さんです。現実でもよくお散歩で緑をかき分けておられます。細々と思っていたことですが、『アザミの森』を読むと覚える感覚、初めてモンハンをプレイした時目の当たりにした壮大なバーチャル大地への感動に似ています。大地、在る……、私、立ってる……。

 同じ漫画描きとして、絵や漫画表現に着目して文章を構成して頂きました。かみまさんの作品題に「森」とあるように、『アザミの森』はめちゃめちゃ作画的な意味でエグい森が画面に広がるので、私が苦しみながら吐き出した緑にコメントを頂くのは恐れ多くもあり誇らしくもあり……。

 別イベントでネームを曝け出し合う機会がありまして、その際私が公開した「未来の私これでヨロシクッ!」な無責任メモにも触れて頂きました。改めて本編に添えると、ラストシーンの……というか、葉ノ崎父子の読み込みの一助になる気がしたので、拾っていただけてとてもよかったです。自分だけで作品について喋ってしまっていたら、ここを拾う機会はなかった(というか拾おうとは思いつかなかった)かもしれません。

 コマ割りとかもよくわからんながらのチャレンジをしつつだったので、漫画描きさんにホホウと言って頂けるとちょっと安心しました!漫画がうまい人に漫画を褒められるとうれしい、この世の摂理。

 

橘札己さん

推しです。

www.pixiv.net

 自称はさておき、傍目で言えば絵文両刀の作家さんです。文字作品がバズってましたが、一次創作だと『お嬢と犬』で作画もネームも担当してみえます。品のある植物がエグうまい。「文庫本の解説が欲しい」と言ったら最初に形になったものを豪速球で投げてくださいました。めちゃめちゃ嬉しかったです。

 忘れもしませぬ、あれは拙僧が散漫とらくがきを散らかしていた頃……お絵かきSNSで好き勝手していた頃から見守ってくださっていたので、変遷まで含んだ作風や、何故か純然たる光属性ではまかり通れない程度にミステリアスな私の人物像にも触れて頂きました。しかも私の我儘通りにガッツリ文庫版小説の解説みたいなテイストで!

 作風変遷については、当時の「メメントモリ、そして死は救済」的なメンタルで描いてた漫画を想定して頂いてます。当時から作品見てる方の何人かはヒーローあたりでグッピーと化し寒暖差に死に絶えたことと思います。解説では色々渦巻いていたメメントモリ時代の描き散らしもあったかく肯定して頂けて嬉しかったです。

 脇道エピソードですが、私が「ペーパーの容量大きくします」って言ったら「容量増えるなら私も文量増やしていいですか?」とのお言葉が飛んできました。本当に増えた。書く力どうなってるんですか、ありがとうございました。

 突然50連休とかになって暇で死にそうになったらシール入荷してください。

 

聖河リョウさん

推しです。

profcard.info

 きれいでうつくしい世界と文章を紡ぐ方です。星と花と石と月。漢字と仮名遣いをきっかけに作品の虜に。振り返るとテキスト表記で一目惚れってあまり経験がない。

 リョウさんには物語の空気や内容、演出について触れて頂きました。「作中で最低限しかオノマトペ(漫画の描き文字効果音)を描なかった」というのは私もどこかでポロっとこぼしはしたのですが、リョウさんはそれ以前から衣擦れや呼吸などの環境音を画面から受信してくださっていました。更新後も色んなところに言及してくださってて、「このすごい受容力があの作品を形作ってるんだなあ……」と感激した次第です。

 中身がどんなお話、というのも最後に内容を振り返るにもいい塩梅。毎日すてきな世界を140字で鮮やかに象る方の手腕はさすがでした。

 そのあたりのこともあって、文庫本裏表紙にあるあらすじ的な見立ても込めて、ペーパーの外側に見えるよう配置しました。あとご本人さんが仕掛け的な要素がお好きなようなので、私の書き下ろしページがのぞくように「何かあるな」感を出してみました。

 リョウさんは継続連載後にいつもしっかりした量の感想をくださっていたので、走り抜ける時とても励まされてました。「最終的に読者大半を振り落としても数人にだけ伝わったらいいや!」と思った時、思い浮かべる皆さんの中心付近にリョウさんの影もありました。本当にありがたい。

 

ついでにわたし

 私の描き下ろしおまけは葉ノ崎親子が暮らす屋上のモデルになった風景をそのまま使用したイラストです。また、これは既出絵ですが、ペーパーの表紙には居住棟の全貌(初期段階ラフ絵)を載せています。
 彼らの居住棟はちょいちょい風景が実在します。目にすると絵が描きたくなるので私生活に支障が出始めました。

 

柊一郎の話は後編で。

ironorange.hatenablog.com