描きたいものの話 PS

目の前に幸せへの切符が落ちていると気付いた時に「私は可哀想な人間なのだから」と拾うことを拒否する人がいる。自分で幸せから逃げるくせに、幸せになりたいだとか、幸せな人をずるいだとか思ったりする。いじめや暴力をはじめ、他人のせいで人生を棒に振った人や、理不尽に抑圧された人が、時々自分が不幸であることを信奉する。不幸信奉をしていると、そういうちぐはぐで傍目愚かな選択をする。それでもその選択はその人はとって必要なものだったりする。地獄を歩いた経験のある人なら、なんとなくわかると思う。

そういう人が「もしかして拾っても大丈夫なんじゃないか?」「一回だけ拾ってみるか」と手を伸ばす小さな力になるような、そんな漫画を描きたい。広く伝わらなくてもいいから、偶然ネットの片隅で出会った一人だけにでも、そういうのが伝わったらいい。

いつか「魅力的な漫画を描き続けたいなら、私の描きたいものは何なのか見つめることが大事だ」と教えてくれた人が何人かいました。私が描きたい漫画は多分、これ一筋でした。私、地獄焼き払いたい。