【HOPE!!】希望の話
【創作】希望を信じる度胸がない青年と、希望を「本物にできる」創作少女の化学反応な話
— 橙都戸 てるり(2/20_NEOKET2_D22) (@terurif3) 2022年2月13日
(HOPE!!/本編48ページ) pic.twitter.com/ZdW82RrH6M
2022年2月20日に新刊を発行しました。現状でクライマックス部分のウェブ常設公開はしていません。
何はともあれ本は出たので、既読前提の裏話とか制作中のお話とかを置いておきます。
🌟成り立ち
実はネームの初稿を書いたのは2020年12月だったと思います。社会情勢がどんどん悪化して、「このまま同人イベントはオンラインも衰退してしまうんじゃなかろうか?」という空気が周囲の創作者さんの中で結構蔓延してきた頃です。
オンラインで持ち堪えるための色んな真新しい試みも見慣れてきて、「マンネリな流れあるよね」「もうちょっと頑張ってくれるイベントが出てきてくれないとね〜」という……参加者立場の率直な声が大きくなっていたのを聞いていました。
私にもわかりますとも。私結局オフイベ一回も出られてないし。物足りないのは物足りないし。
それでも、当事者の私たちが拗ねてしまったり、新しく立ち上がってくれたものに否定を合唱してしまったら、それはなんだか違うのではないかと。よくわかんないけど、創作する立場でそういうことするのは寂しいんじゃないかと。
人々が他力本願と自己本位に囚われかけたとあれば、ペンを握る者がやることは一つでしょう。希望を描きます。描きました。
以上です。
毎年冬いっぱいは本当に忙しいので、時間の都合で去年の冬には間に合いませんでした。またその後ちょっと災害があったので「天災から立ち上がる人の姿を描きたい」というかねてからの思いでバイオスフィアを先行し、その後はオンラインイベント主催の手伝いもあり……一年越しになりました。
【アイデアメモ】
【ネーム初稿】
当時から漫画構成の趣味が大きく変わったので、中身も結構違うものになっています。当初は本当に空想が死にかけだったので、ウェードはロマネアと喧嘩するほどの情念すらも喪失している設定でした。ただ静かに淡々と言い合いもなく……というところでロマネアがふっと希望を一つ拾うという感じ。一年経ってウェードがめちゃめちゃ元気になりました。
人々の空想力が落ちてたり、塔を壊したり、ロマネアがチートだったり、雪が「うるせー!!!しらねー!!!✝️SnowFantasy✝️」と噴き出す設定があったりとか、そういう主要な部分は変わっていません。
当然主題も変わっていないので、眠りかけている希望を一つ読んだ人の胸に起こせればと……そういう漫画でした。
🌟「ロマネア」
もちもちの少女!!!私はもちもちとした生き物コンプレックスなので柔らかいキャラを描くのがおかしくなるくらい好きです。おもちはいいぞ!
ガワは少女ながらも人外です。じゃあどんな仕組みのどんな人外かというところはバッサリ切り捨ててあります。被造物であることだけが表現に必要だったので、そこだけ作中でもボンヤリと。
ネタを思い付いた時、名前は率直に「ロマン」がいいなと思っていました。FGOで数多のマスターを狂わせた男が同じ名前で私も狂ってしまいそうだったので「オークショニア」的なニュアンスで改案しました。ロマンを作る者、みたいな意図を込めて。
ちなみに彼女のお魚、
別作品でも結構泳いでいます。
🌟ウェード・ウィッシュマン
名前と苗字が露骨なだけで普通の青年です。性癖とか好みとかを度外視したら、この物語を読んで「ウェードがキャラとして一番好き!」と言うほど印象に残る方って、数的にはそこまで多くないのだと思っています。私がまっさらな状態で読んでもロマネアに目がいくだろうな~と。そのくらいがお話の意図的には丁度よいので。
ちょっと入れたかった設定に「保全者とは保全する者ではなく、保全される側の者」という水面下の認識がありました。前の保全者が結構色々ほったらかしで引き継いでるのは、保全の甲斐虚しく失望に呑まれて希望を見失ったからです。
主人公だけどモブで個性消えかけ。突飛なアイデアや個性もどんどん失っているヒトの一人。それでも破壊も願いもその手でやれます。誰にだってプロローグはある。
🌟ウィッシュマン一家
ウェードには保守的な家族がチラ見えします。「女の子なんだから田舎帰ってきて結婚しなさい」って言うタイプの母親と、長男だから俺が家を継げるんやろな〜ウェードは次男だし自立したら出て行くんやろな〜と思ってる兄。
母親は本当に金銭面で困っていたわけではなく、ウェードの未来を信じずに「安定した職につくのが幸せなのよ」というテイストで彼を説得し続けていました。まあその辺りはなんとなく圧が通じればいいや〜と思って雰囲気だけで流してるので何でもいいです……一芸を愛してしまった方には読んでて気分いいパートじゃないですし、もちろん私も気合入れて向き合いたい思想ではなかったですしね。
ただ、お金が安定していて社会で役割を頂ける環境は、ある種本当に幸せで安心です。高次の欲求だけではぐらつきます、衣食住とか、低次の安全欲求が満たされなければ個々の生き物はどんどん狂っていく。そして時に、高次の欲求は低次の欲求を捨ててでも掴み取りたくなってしまうほど輝いていて、それだけを求めすぎるとやがて狂気になっていく。
だから地に足が着かない狂気を恐れる人ももちろん間違いではないし、それゆえにお互いの夢と希望は時にささくれ合ったりする。そういう希望のすれ違いで、お互い盲目になってしまうこともある。
🌟パティシエ見習いの少年
初稿では設定のみで本編には不在でした。ウェードの書き込みを増やしたかったので会いに行かせました。なんというか……バトル漫画だったなら「リゼロ」のオットーみたいな立ち位置だと思います。
まだ自分なりの希望を失ってはいないものの、アテがないくせにお客さんの無茶振りを断らなかったり、危ない日に迂闊に外に出るなど、リスクに対する空想力はちょっと足りない子です。逆に現実が足りてない。でもそういうところが友人の希望をくすぐってくる。
この世界でこのまま大きくなると多分お買い物シーンのお店の皆さんみたいになってたと思います。魚で来店しても気に留めない、不思議だなあすごいなあと気付かない、お金を渡されたから商品を渡すだけの人たち。
🌟博士って誰
ロマネア開発者の「博士」、希望と感情の解放劇における水面下の立役者です。彼のせいでウェブ公開を躊躇っている節があります。
スターシステムと言うほど大々的なつもりはないですが……概念を共有している……というか……???そんなイメージのキャラがいました。でも顔描いてないのでセーフだと思います。
ラストで出でくる欲求の話題は本当に突然でしたが、マズローの欲求段階説の話をかじっています。文字通り哲学分野の話です。
なんかセリフ運びが重いな〜ってこねくり回してたら社会的な範囲の欲求未満に位置付けてるやつの話カットしてたみたいで!うっかり不完全体になっちゃいました!そんなこともある!
なんやらかんやら生きるって色んな尺度がありますし、めんどくさいことも守らなきゃいけないものもいっぱいありますが、そんなことわかってるうえで、前は向いてた方が楽しいですよね。
🌟鐘塔
こいつもスターシステム的なやつだったりしました。とはいえ本当に他作品における設定で掠めただけなので自己満足の範囲です。
塔の鐘をもっと随所で鳴らせばよかったなと思います。突然ラストに出てきてしまった、ペース配分失敗しました。あと間取りガバガバなので頂上階と広さが若干合ってない気がしてきました。そんなこともある!
🌟作画のこと
背景に素材と3Dをいっぱい使ったんですけど気付いたでしょうか!!!何だあれ!!!世界変わりますね!!!初めて漫画で3D素材から線画抽出しました!!!楽~~~!!!
画数の多い本棚や家、あとはパース取りで時間をくう建具関係が3Dになっています。
木製冷蔵庫(→)は線画抽出したかったけどモデルがありませんでした。そりゃそうだ。
鐘とか一部の瓦礫は描きたかったので自分で描きました。好きなものを描くのは楽しかったです。