【駄文】絵が下手なんですよ

(記事読了目安:3~5分)

 

初めまして記事だけというのも私のプライドが許せん部分があるので、ダラダラお気持ちを書きます。
中身はないです。

 

私の作風の話から始まって、ちょっとの文句を交えつつ、私が何で漫画描いてるかを喋ります。

 

作風について結構「文学的だね」と感想を頂くことが多いです。
懐疑的には思いつつも、自分が持つ文学へのハードルが高めなので、知らないうちに実は文学しているのかもしれません。

そも文学っちゃあ何ぞやとなりますと、それはもう「人間を見つめて書かれたものが文学である」という程度ですしね。
人間強火推し同担歓迎作品なので、よく考えれば文学なのかもしれない。

 

文学―—というか、いわゆる「面白い話」に付きまとうのが、どうしても欠落というものだと思っています。
ギャグやお笑いで、何かが完璧でないことを滑稽の対象とするものは多い。そしてそれ以上にいわゆる「しんどい設定」の物語は多い。

『先天性フラッグ』の話をすると、絶対的な安全を手に入れた国民の中で、主人公達は何かが欠けている。フリオは私人としての側面、怪盗くんは安全な没個性の国民としての側面を、それぞれ――持っていて当然なのに――持っていません。性格とかじゃなくて、ステータスとして。
欠落が吹き溜まって行き着いた一つの起爆点が本編部分。
まあバックは暗いというか。いや正直皆さんほどじゃないですけど。光の創作者なんで私。

 

 

 

そんな前置きをして、ここからが今回の文句です。

 

「創作世界でまでしんどい世界見たくないよね」っていう声が少なからずある。
楽しいものだけ見たい、難しいことなんて考えたくない、娯楽だし。難しくて暗くてしんどいもの摂取したってどうしようもなくない?と。4コマあれば僕たちは笑えるんだから、読みものくらい楽させてよ。そもそも文章読むときにそんな頭使いたくないんですけど、みたいな。

 

そう

 

そうかあ~~~~~~~~~~~~~?????????????????

 

漫画や小説なんかの創作物に求める「楽しいもの」って何?と考えた時、私は案外こういう「どうしようもない世界」というか、何かが欠落した存在に行きついてしまう。彼らの生き様を見つめて感情移入することで活力が湧いてくる。体力も回復する。仕事も速くなる。今日もお先に失礼します、残業が月100時間切るようになったので収入減りました。こんな世の中狂ってやがる――
これを読書や物語を楽しむ姿勢として「邪道邪道、難しいのやめてよ」みたいにしてしまうことは、怖いことではないかと。

 

勿論創作物の楽しみ方は自由です。読書の歩き方は千差万別であっていい。
でも、読む側がうわべになって、書く側もニーズに合わせて声を潜め、浅い作品に技巧を寄せてったとしたら、ちょっと悲しい。
創造全体が浅くなったら切ない。
「物語について何も考えたくない」という声が大きいことに漠然とお節介な不安を覚える人間なので、どうしてもそう思ってしまう。

 

読み手事情について、読書が苦手なのか日本語が苦手なのか、はたまた現実が地獄すぎてただただ脳がキャパオーバーしているのか、私にはわかりません。
でも今の読書に差す平和主義は、私は好きではない。
憎らしくても否定はしませんが。へえ、そうやって楽しむんだ、とは思う。

 

正直なことを言うと、文字を書くのが好きです。

 

だって絵が下手なんですよ。

 

絵の勉強なんてしたことないし。漫画の勉強なんてもっと当然にしたことない。縦に連なるコマ漫画ひたすら書き殴ったことはあるけど、コマ割りなんて真面目に取り組んだことない。ただただ好きで物心ついた時から描き続けてただけ、ノウハウは本当の本当に、感覚と努力と時間だけ。専門学校の体験談は憧れとコンプレックスと。
それで漫画描いてたらそりゃ……こんな素敵な作品が溢れたSNSで落ち込まないわけない。
実際「絵が下手だな……」って落ち込むことは、姿を見せてない(つもりな)だけでかなり多い。

 

でも、私のちょっと癖のある声の壁を、漫画にすることで少しでも取り払ってもらえるなら、それはすごい可能性だとも思うんです。

 

だから漫画を描いてます。

 

皆さん気付いたかわかんないですけど、『先天性フラッグ』を読んだ方は「愛憐」「保証申請」「衆目」「小癪」エトセトラを読まされてるんですよ。
「ウッ難っ駄作決定」などと思ったかは別として、漫画だからつい読みました、みたいなとこがあるとしたら……それは……すごいことなんですよ……。これが小説で延々このテンポでクソ難易度二字熟語乱発されたら、そこまで読んでくれてたでしょうか。

 

漫画って……すげーんですよ……。

 

生きながらたくさんのことを考えてる。みんなそうなんだろうけど。
考えることが好きな人も、考えることが嫌いな人もいる。
私は考えることが好きです。
考えてそれを形にすることが趣味です。
その形態に漫画を選んだ。この形で書くのが一番楽しかったので。

 

こういうこと、一人でやってたらぐるぐる病んでしまうと思います。
とても失礼な例えですが……ヒソヒソした噂フレーズとしての「思想家って、ちょっと……」みたいな。そういうところへ行きついてたと思う。皆さんが漫画読んでくださるから生きてる。

 

それだけの一般人でした。

 

今日もありがとうございます。

以上です。

 

 

 

――追伸

言わねば。

途中で浅い読書のススメに対し苦言を呈してしまいましたが、先に苦言を呈されたのは私の趣味に対してです。
否定したされたの戦局でいえば、私は後手です。
誰かの自由と誰かの自由は、そうやって案外平和そうに見えるところでもつぶし合っている。

 

#一次創作 先天性フラッグ - てるり(鉄屑オレンジ)のマンガ - pixiv